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家庭用ゲーム初リリースでメタスコアに掲載するまで
2022.04.27
ゲーム買うとき何を見る?
こんにちは、GAGEXの舟崎です。
突然ですがみなさんゲーム買うときに何を参考にされているでしょうか?
Youtuberの実況、知り合いの口コミ、ゲーム情報サイト、広告、Amazon、AppStore、GooglePlay、Steamのフィーチャーやレビュー…など様々な情報をもとに検討されているかと思います。
そんな中で個人的には、特に海外のゲームを購入するときはメタスコアを頼りにしています。
メタスコアって何?
メタスコアは、CBSインタラクティブが運営するレビュー集約サイトMetacritic(以下メタクリ)が発表するゲーム、映画、音楽等の100点満点のスコアのこと。
海外の雑誌、情報サイトなど約200メディアのレビューを集めて数値化したものです。
スコアは単純な平均ではなく、メタスコア独自のアルゴリズムによって加工された加重平均でつけられます。
詳細は伏せられていますがメディアの信頼度が影響しているようです。
またポイントとして、スコアが掲載されるには各プラットフォームごとにメタスコアの認定メディアのレビューが4件以上あることが必要です。
複数メディアの加重平均なため、単独のメディア(レビュアー)に比べ偏りの少ない指標といえます。
Nintendo Switch版リリースに向けて
GAGEXでは2021年12月に初めての家庭用ゲームとなる「忘れないで、おとなになっても。」(Nintendo Switch)をワールドワイドで発売しました。
Nintendo Switchはプラットフォーム上に定量化されたレビュー機能がないため、少しでも外部のレビューから購入動機付けをしたいという意図でメタスコアへの掲載をマーケティング上の課題にしました・・・したものの、ググっても情報がない。。
そこでこのブログでは、メタスコアに載せる攻略法を紹介したいと思います。
後述の反省点もあるので「マネすれば余裕で掲載できる!」
というわけではありませんが「メタクリに掲載したいけど何すればいいかサッパリ」という悩みを抱える小規模デベロッパーやインディー開発者の方の一助になれば嬉しいです。
前置き長くなりましたが以下が「忘れないで、おとなになっても。」での具体的な取り組みです。
メタクリで似たゲームを探す
やみくもに海外ゲームメディアを検索しても、果たしてそれがメタクリに載るのかはわかりません。
メタクリの認定メディアを探すならメタクリを見るのが一番です。
そこでまず、レビューしてもらいたいタイトルとジャンルや題材が似たゲームの記事を探すことにしました。
書き手は、少なくとも過去にレビューしたゲームには商業的または個人的に興味があったわけで、類似ゲームなら食指を動かしやすいのではないかと考えました。
余談ですがレビュアーによってはプロフィールに好きなジャンルやタイトルを紹介している人もいますので、そこを糸口にしてもいいと思います。
Nintendo Switch & アドベンチャーでソートして本作と雰囲気が似ている、かつスコアが上位のタイトルを抽出していきます。
実際にソートするとこんなふうに見られます(外部リンク)。
ざっくり「雰囲気」といってしまいましたがインディー系でストーリーが評価されている作品を優先しました。
ものすごく具体的にタイトルを挙げると「To the Moon」「Sumire」「VA-11 Hall-A」といったタイトルですね。
レビューサイト、レビュアーをリストアップ
前述のサイトやレビュアーをリストアップしていきます。
メタクリにはレビュー記事のリンクがあるので、遷移先から記事を書いたレビュアーを探します。
ここで重要なのは「レビュアー > 問い合わせフォーム」なこと。
メディアの問い合わせフォームからレビュー依頼してもよいのですが、体感としてはメディア窓口よりレビュアー個人に相談するほうが5倍くらい親身に話をきいてくれます。
メディア窓口への連絡は、(特に小規模タイトルは…)そのほか無数のプレスリリースや問い合わせに埋もれてしまうのではないでしょうか。
さて、レビューをよく見ると署名記事であることが多いです。
そこからレビュアーのプロフィールや連絡先をゲットしましょう。
サイトに連絡先がなくても、記者名をググったりTwitterで検索するとヒットするケースがあります。
連絡先不明なレビュアーもいるので、その場合は諦めてメディアの窓口に連絡しましょう。
お手紙をかく
さていよいよコンタクトする段階です。
レビュアーやメディアは作品に興味を持ってくれるでしょうか?
外部に連絡先を公開している方ですので、大量の執筆依頼を受け取っていると想定されます。
埋もれないよう「なぜアナタなのか?」「作品の魅力」「興味あればレビュー用のコードを渡すからレビュー書いて」を簡潔に伝えるとよいと思います。
後者2つで構成すると一斉送信するプレスリリースと変わりませんので、特に前者は大切ですね。
「忘れないで、おとなになっても。」では書き手のプロフィールやレビューを見て、
この作品を気に入ってくれそうか、興味を持ってくれそうか、という視点でメールやらDMしていきました。
本作はスマホ版が公開済でしたのでストアでの評価や受賞実績、移植版の独自コンテンツなども記載します。
ちなみにコミュニケーションはほとんど英語。
私自身全然ネイティブではありませんので、日本語で文章考えて機械翻訳(DeepLがオススメ)、ざっと見直して英語ネイティブの方にチェックしてもらうという流れにしました。
21世紀だし、なんとかなります。
粘り強くレビューをためる
ここまでやって、ホントに興味をもって返事をくれるレビュアーは2〜3割程だったかと記憶しています。
レビュー用のプロモーションコードを渡して記事化できるのはさらに少数です。
加えてコンタクトの成功率は低くなりますが、メタクリ認定メディアの窓口をリストして横断的にレビュー依頼するということもしました。
一通りコミュニケーションが取れて依頼が済んだら、あとはレビューが4件たまるのを待ちます・・・。
応じてくれるメディアやレビュアーが足りない場合は参考タイトルの範囲を広げていきましょう。
そんなこんなでスケジュール感としてはDL販売開始の2ヶ月前からアプローチ開始して、
発売週くらいのタイミングでメタクリに掲載されました!
このブログの執筆時点でレビュー9件、81点を獲得することができました。
プレイしたレビュアーの方から「心にしみる」メッセージをいただいたりして「好きな人に遊んでもらえた」点は良かったのかなと考えています。
まあぶっちゃけ
「掲載された反響は販売数で定量化できるの?」
「めっちゃ酷評されたらどうするの?」
という視点もあるわけですが、そこは自己満足というか
「やらないよりはマシ」の精神で突き進みます。
載ってよかったね! うん!
反省点。Steamのレビューが…
こうしてSwitch版はめでたく目的を果たせたのですが、
実は2022年4月時点で「忘れないで、おとなになっても。」Steam版のほうはまだメタクリの点数がついていません。
掲載が3件だけなのです。。
Switch版を先にリリースすることもありレビュー依頼もSwitchを優先していたのですが、レビュー本数のバランスを欠いてしまいました。
PCゲームサイトはハードコアな作品が扱われやすいのに加え、PCとSwitch両方を扱うメディアの場合、Switchのコードを求められることが多かったです。
Switchのほうがレビューしやすい(読者が多い)のかもしれません。
マルチプラットフォームで展開する場合は配分をコントロールすることも課題だなと痛感しました。
レビュアーの興味ありきなので難しいところですが・・・。
とはいえSteam版もあと1記事でスコアが出ますので、いつになるかはわかりませんが地味にがんばっていきます。
以上となります。
あくまで「忘れないで、おとなになっても。」の事例ですので、そのまま他タイトルに当てはまるとは限りませんが、
またすでに広範なメディアリレーションを確立されているパブリッシャーや開発者さんには当てはまりませんが、
これから新作を上梓する方の参考になれば幸いです!
最後にスペシャルサンクス
ノウハウゼロの状態から「メタクリに載せたい!」というワガママに付き合ってくださった皆さんに、この場を借りて御礼申し上げます。
インディー開発者の支援をされているasobuのAnneさん。メディアリストやコミュニケーションでご協力大変助かりました!
翻訳者のGavinさん。いつも良い翻訳ありがとうございます。今回もBitsummitやプレスリリースなどなどお世話になりました!
Subset GamesのJustinさん。インディー視点での情報交換ありがとうございました! FTL大好き。